ダークファイバとは?企業ネットワークを支える“光ファイバの未利用区間”の正体


企業におけるネットワーク回線は業務に直結する「生命線」です。特に近年では、企業の各拠点を繋ぐネットワークやデータセンターとの大容量通信など、従来以上に“高速で安定したネットワーク”が求められています。

こうした中、「最適解」の一つとして「ダークファイバ(Dark Fiber)」がありますが、聞いたことはあっても「どんなものかわからない」という声は少なくありません。
本記事では、まずはダークファイバの基礎知識を整理し、利用を検討する際に押さえるべきポイントについて、わかりやすく解説します。

意外と知らない「ダークファイバ」という言葉の意味とその正体

「ダークファイバ」という言葉を初めて聞いた方は、「ダーク」ということで、どこか怪しげな印象を受けるかもしれません。しかし、これは通信業界における正式な名称です。
また、「聞いたことはあるけど・・・よく知らない」という方も多いのではないでしょうか。
まずは、このダークファイバが一体どういったものなのかについて解説します。

  1. そもそもダークファイバって何?その言葉の意味は?


    ダークファイバとは、通信事業者などが敷設した光ファイバケーブルの中で、まだ“光が通されていない=未使用の「光ファイバ心線」” のことを指します。

    光ファイバケーブルには、1本のケーブルに複数の「光ファイバ心線」(以下光心線)が収容されています。
    通信事業者は、光ケーブル網を展開するエリアに敷設工事のコスト効率や将来の需要を見越して光心線が多めに収容されたケーブルを敷設しますが、その中には使われていない心線が一定数残ることがあります。この未使用の光心線が“光が通っていない「Dark(暗い) Fiber」と呼ばれる理由です。対照的に、すでに通信サービスとして稼働している光心線は「Lit Fiber」と呼ばれます。

    つまりダークファイバとは、まだ利用されず眠っている光心線のことなのです。
    実際に光心線のコアと呼ばれる中心部を通る光は人の目で見える光ではありませんが、イメージとしてとらえて下さい。

    ■光ケーブルと光ファイバ心線
     屋外に敷設される光ケーブルは通常、複数の光ファイバ心線が内部にテープ状や単線を束ねるなどして、収められています。


    ■ダークファイバのイメージ
    光ケーブルの中には加入者へ回線開通されず使われないものが存在します。これがダークファイバとなります。

  2. ダークファイバはそのまま放置されるの?


    「ダークファイバと呼ばれる理由はわかったけど、使わないのはもったいない」と思う方もいるでしょう。実はダークファイバはちゃんと活用されているのです。

    かつて、これらの未使用光心線は通信事業者の資産として、他者が利用することはできませんでした。しかし、2001年の電気通信事業法改正により、NTT東日本・西日本(以下NTT)が保有するダークファイバの開放が義務化されました。

    この規制緩和の背景には、通信市場の競争促進と、既存インフラの有効活用という政策目的がありました。巨額の投資を必要とする光ファイバ網を一から構築するのは、新規参入事業者にとって大きな障壁です。既存のダークファイバを開放することで、参入障壁を下げ、市場競争を活性化させようとしたのです。

    この規制緩和により、他の企業が、ダークファイバを借り受け、独自のネットワーク基盤として活用できるようになりました。
    ダークファイバはNTTだけでなく、他の通信事業者のほか電気、鉄道会社などからも貸し出しが行われています。

  3. つまりダークファイバとは


    ここで、ダークファイバについて前述した内容をまとめると、

    ・光信号が流れていないため“暗い” 光ファイバ心線
    ・多めに敷設されたため余剰となりサービスとして未使用なもの
    ・通信事業者や電力系通信会社などが貸し出すことで利用可能

    このように、ダークファイバは光ケーブル設備の中に存在する未使用の光心線を借り受けて独自の通信インフラとして利用する仕組みと言えるでしょう。

        ダークファイバのよくある誤解

        ここまで、ダークファイバの言葉の意味やその正体についてお伝えしました。しかし、一般的にはあまりよく知られていないため「ダークファイバって、インターネット回線のことでしょ?」と、誤った理解をしている方も少なくありません。
        ここでは、なぜこういった認識の方が多いのかについて触れたいと思います。

        1. ダークファイバはインターネット回線?


          ダークファイバがインターネット回線であるという誤解、特に「高速インターネット回線」という認識の方が多い理由は、Web上に存在する、「インターネット回線の比較サイト」などで紹介される場合に、非常に紛らわしい表現や、中には「ダークファイバが高速インターネット回線の本命」とまで言い切るような情報を載せているサイトもあり、こうした情報が原因で勘違されているのではないかと思われます。

          とは言え、インターネット回線には、NTTの「フレッツ光」のようなサービスや、この「フレッツ光」のサービスを他の事業者が借り受け、独自サービスを組み合わせて展開する「光コラボ回線」があります。ここに、さらにダークファイバを利用したインターネット回線があるので、これらが一括りにインターネット回線と認識されてしまうことは無理もありません。

          ダークファイバはインターネット回線ではなく、この場合、少々わかりにくい表現ですが“独自のネットワークでインターネット接続環境を提供するためにダークファイバを利用したサービス”ということになります。

        2. インターネット回線でなければ何なのか?


          「なんとなく分かったような気もするが、まだよくわからない」と思った方のために、“ダークファイバはインターネット回線という誤解”について、もう少し掘り下げてみましょう。

          インターネット回線のサービスに利用される場合に、ダークファイバがどんな役割を担うのか、これについて解説します。
          ダークファイバを利用したインターネット回線サービスとして代表的なものに、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供する「NURO光」があります。
          「NURO光」を自社の独自ネットワークでサービス展開したい、しかし所有する光ケーブル設備がありません。では、どうするのか?加入者の開通申し込みがある度に、その都度光ケーブルを敷設するのか?それでは費用やサービス提供までの時間的にも全く現実的なことではありません。

          ここでダークファイバの出番です。加入者拠点から最寄りのNTT局舎までの区間についてはNTTの未使用の光心線(つまりダークファイバ)を借りることにします。こうすることで、そのダークファイバを通じて、加入者拠点にある光終端装置とNTT局舎内にある自社のネットワーク装置を接続することが可能になります。
          これで、NTTのネットワークを利用することなく、独自のネットワークによるサービスを展開できるようになり、まさにこの点が、NTTのネットワークを使う光コラボ回線と大きく違う点です。

          このように、ダークファイバは加入者拠点とNTT局舎内にある自社のネットワーク装置を物理的に繋ぐ2拠点間のネットワークインフラとしての役割を担っています。

          ■ダークファイバの利用イメージ

              ダークファイバの最適な利用方法とは?

              前述したように、NURO光の例では、ダークファイバが物理的に2拠点間を繋ぐネットワークインフラとしての役割を担っていました。
              実はこうした“拠点間ネットワークを繋ぐ専用線”としての利用こそ、ダークファイバの特長が活かされる最適な用途なのです。ここからは、その理由について解説します。

              1. 拠点間ネットワークとは?


                まずは、拠点間ネットワークについて、以下にいくつか具体的な例をあげます。

                【拠点間ネットワークの例】
                ・本社-データセンター間:基幹システム環境、バックアップデータの同期
                ・本社-支社・営業所間:業務システムの利用、ファイル共有、音声通話
                ・工場-本社間:製造ラインデータの収集、品質管理システムとの連携
                ・病院間/医療機関-データセンター間:電子カルテ、高解像度画像データの共有
                ・大学-研究施設間:大容量データ分析、学術系クラウド利用

                いずれも、拠点間を安定的・高速に結ぶ通信が業務の成立条件になっているパターンばかりなのがわかると思います。そして、こうした拠点間ネットワークには以下のような要件があります。

                【拠点間ネットワークの要件】
                ・高速で安定した通信環境:
                大容量データのやり取りが多く発生しても業務に支障をきたさない、高速で安定した通信環境が必要

                ・低遅延:
                拠点間同期、映像伝送、リアルタイム制御など、業務品質に直結するような遅延が起きてはならない

                ・高いセキュリティ:
                機密情報を扱うため、情報漏えいや改ざんに対するリスクは絶対に避けなければならない

                ・拡張性:
                将来的に増え続けるデータ量に対し、帯域を拡張できる柔軟性が必要

                このように、拠点間ネットワークには、共通して厳しい要件があることがわかります。

              2. ダークファイバのネットワーク回線としての特長?


                それでは、ダークファイバの特長を見てみましょう。ダークファイバ単体ではただの光心線に過ぎないので、ここでは、ダークファイバと伝送装置を組み合わせたネットワーク回線として企業で導入する場合を想定します。

                【ダークファイバの特長】
                ・回線を完全占有できる(帯域が保証される)
                自社で光ファイバ心線を占有するため、他社トラフィックの影響を一切受けません。常に一定の通信速度が出るだけでなく、大容量データの転送にも向いています。

                ・極めて低遅延
                中継装置や共有バックボーンを挟まず、ほぼ「拠点同士を直結する」に近いため、遅延が非常に小さくなります。処理遅延が業務品質に直結する用途で大きなメリットとなります。

                ・物理的に閉域でセキュア
                ダークファイバは物理的に分離されているため、論理的な閉域よりも高いセキュリティを確保できます。必要に応じて暗号化装置を組み合わせることで、最高レベルの安全性を構築可能です。

                ・将来の帯域拡張が容易
                光ファイバ自体はそのままに、装置交換や複数の異なる波長の光信号を同時に乗せる多重化によって帯域を大幅に引き上げることができるため、長期的な通信量増加にも柔軟に対応ができます。

                このように、ダークファイバは“高速で安定性があり、低遅延でセキュリティや拡張性にも優れた特長を持ったネットワーク回線として利用できる“ということになります。

              3. 拠点間ネットワークの構築に最適


                このように、拠点間ネットワークの要件にダークファイバのネットワーク回線としての特長が、ほぼ一致していると言えます。
                言い換えれば、拠点間のネットワークにおける課題を解決するのがダークファイバであり、この利用方法が最適ともいえるのです。

                ■ ダークファイバによる専用線のイメージ
                インターネットなどを介さず、拠点専用の通信回線を作りダイレクトに接続します。

                    まとめ

                    本記事ではダークファイバがどんなものなのか、その言葉の意味や正体について、また最適な用途について解説しました。
                    企業における拠点間のネットワークは、業務の中枢を支えるミッションクリティカルなインフラです。
                    その要件はますます厳しくなっており、「速度」「安定性」「遅延」「セキュリティ」「拡張性」など、複数の要素を同時に満たす必要があります。

                    ダークファイバは、これらすべてに高い次元で応えることができます。しかし、その利用については、借り受けるための企業の条件(電気通信事業者でなければならない等)やネットワーク構築、管理、運用、保守など、敷居が高いと感じるかもしれません。
                    このような場合、通信事業者がダークファイバを借り上げて専用線のサービスを提供する方式であれば、それらの負担を抱えることなく、高品質な専用線を利用できるという点で大きなメリットがあります。

                    拠点間ネットワークを強化したい、クラウド利用を安全かつ高速に行いたい、基幹システムを安定運用したい。そのような企業にとって、ダークファイバの専用線サービスは極めて有力な選択肢となるでしょう。

                    エクシオグループではダークファイバの専用線サービスを提供しています。キャリア工事会社による高品質な専用線をご検討の方は、ぜひご相談ください。

                    関連するページ:ダークファイバ光専用サービス

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                    2025/12/26 | カテゴリ:ネットワーク/サーバ

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