社内サーバーをクラウド化するメリットと検討ポイントとは?

総務省が発表した「令和5年通信利用動向調査の結果」によると、クラウドサービスを利用している企業は全体の8割に達し、変わらず増加傾向にあると報告されています。クラウドが主流となりつつある現代、社内サーバーからの移行を検討する企業も多いでしょう。
本記事では、社内サーバーをクラウド化するメリットとデメリット、そして検討すべきポイントについて解説します。老朽化や保守切れで次の移行先を考えている方には、参考にしていただける内容です。


参考:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf

クラウドサーバーと社内サーバーの比較

クラウドサーバーと社内サーバー(オンプレミス)には、コスト、運用負担、カスタマイズ性などの違いがあります。以下に具体的な違いを紹介します。

  • クラウドサーバー


    コスト: 初期費用を抑えることができる、従量制で課金される
    運用負担: ベンダーに機器管理を任せられる
    拡張性: 必要に応じてリソースを増減できる
    カスタマイズ性: 基本的にベンダーが用意するハードウェア・ソフトウェアを使用する
    災害対応: 地理的に安全なデータセンターで稼働

  • 社内サーバー(オンプレミス)


    コスト: 機器の購入費用や運用・保守の人件費がかかる
    運用負担: 運用・保守や障害対応を自社で行う必要がある
    拡張性: リソースの増減に時間やコストがかかる
    カスタマイズ性: 要件に合わせたハードウェア・ソフトウェアを調達が可能
    災害対応: 安全な拠点への移設作業が必要な場合がある

クラウド化のメリット

以下の2点は社内サーバーをクラウド化する最大のメリットです。

・運用の柔軟性の向上
・コストや運用負担の削減

  • 運用の柔軟性の向上


    クラウドサーバーを利用することで、業務の柔軟性が向上します。例えば、オンプレミス環境でリモートワークへ移行する際、VPN環境を構築する必要がありますが、クラウドではインターネット環境が整っていればどこからでも接続が可能です。

    また、メモリ・ハードウェア・CPUなどのリソースの増減もプラン変更だけで簡単に行えるため、業務運用の柔軟性が高まります。

    さらに、クラウドサービスは多くの場合、最新の技術や機能を迅速に取り入れることができるため、競争力の維持や向上にも寄与します。これにより、企業は市場の変化に迅速に対応することができ、ビジネスの成長を促進する要因となります。

  • コストや運用負担の削減


    クラウド化により、運用にかかる負担やコストを大幅に削減できます。社内サーバーの場合、障害対応、定期メンテナンス、セキュリティ対策などの手間や費用がかかりますが、クラウドサーバーではベンダーがこれらを管理するため、管理負担が軽減されます。

    また、クラウドサービスはスケールメリットを活かしてコストを抑えることができるため、企業にとっては大きなメリットとなります。さらに、クラウドサービスは利用した分だけ課金されるため、無駄な支出を抑えることができます。

クラウド化のデメリットと課題

クラウド化には以下のデメリットが存在します。

・カスタマイズ性の低さ
・パフォーマンスの低下の可能性

  • カスタマイズ性の低さ


    クラウドサーバーでは、ベンダーが提供するサービスを用いるため、カスタマイズの柔軟性に乏しいことがあります。また、自社の既存システムとの互換性がない場合、連携が難しい場合があります。

    しかし、こうした制約を解消するために、「IaaS(Infrastructure as a Service)」という提供形態があります。IaaSでは、ハードウェアインフラのみをサービスとして利用し、その他のOSやミドルウェア、アプリケーションなどを自社で自由に選択・構築できます。これにより、クラウドの利便性を享受しつつ、カスタマイズ性も維持できます。

  • パフォーマンスの低下の可能性


    クラウドは外部のインターネット回線を使用するため、通信環境の変化によって速度低下が生じることがあります。ベンダー側も対策を施していますが、完全に避けることは難しいと言えます。

    例えば、インターネット回線の混雑やベンダー側のサーバー負荷が高まった場合、通信速度が低下することがあります。これに対して、各ベンダーはシステムの冗長化や「SLA(Service Level Agreement)」を公表して高い稼働率を保証するなどの対策を講じています。

クラウド化を検討する際のポイント

・維持コストの試算
・セキュリティ要件の確認


  • 維持コストの試算


    移行後の維持コストを試算しましょう。クラウドサーバーは「基本料金+従量課金制」もしくは「従量課金のみ」を採用していることが多いです。具体的な費用をシミュレーションし、必要なリソースや利用目的を検討しましょう。

    例えば、データ転送量やストレージの使用量、マシンスペック(CPU・メモリ)などの費用項目を詳細に検討し、総合的なコストを見積もることが重要です。クラウドベンダーの多くは、料金シミュレーションツールを提供しているため、これを活用して具体的な費用を把握することができます。

  • セキュリティ要件の確認


    セキュリティ面の問題は重要な検討ポイントです。クラウドベンダーが提供するセキュリティ対策が自社の要件を満たしているかを確認しましょう。

    例えば、通信・データの暗号化やアクセス制御の強化、不正アクセスやデータ漏洩に対する対策など、クラウドベンダーが提供するセキュリティ機能を詳細に確認することが重要です。また、ベンダーのセキュリティポリシーや実績を調査し、信頼性を確保することも大切です。

まとめ

この記事では、社内サーバーをクラウド化するメリット・デメリットを解説しました。クラウドサーバーには多くの利点がありますが、課題もあります。自社のソフトウェアやインフラ、データを見直し、クラウド移行が可能なものを分類して検討してみてください。

クラウド化を進める際には、事前に十分な情報収集と検討を行い、自社に最適なクラウドサービスを選択することが成功の鍵となります。ぜひこの記事を参考に、自社のクラウド活用を進めてみてください。

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2025/02/19 | カテゴリ:IT基盤構築

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