クラウド時代のネットワーク管理運用:コスト削減の3つの方法

近年クラウドや仮想化の技術が発展し、ネットワークの運用や管理のためのコストも増加傾向となっています。しかし、こうしたコストの削減を目指す際にどこから手をつけるべきか分からないなど、お悩みの方も多いようです。今回は、ネットワークの運用や管理における課題や現状と、具体的なコスト削減方法について解説します。

ネットワークの管理や運用における課題

2020年頃からの新型コロナウイルスの影響もあり、リモートワークが増加しました。これによりクラウドサービスの導入やVPNの利用などが増えたことで通信量や接続端末数の増加でネットワーク遅延が頻発しました。この対策として回線の帯域を広げることや通信機器の最新化がありますが、この対策にはコストがかかり判断が難しいと考える企業も多いようです。

仮想化やクラウド技術の普及によりネットワークが複雑化し、担当者の負担が増えています。このため、障害対応や監視などの業務品質が低下し、ミスが多発する可能性があり、それに伴う工数やコストの増加が懸念されています。

あるマーケティングリサーチ会社が実施した調査によれば、「ネットワークのコスト削減」や「ネットワークの広帯域化・高速化」がネットワーク環境における今後の課題であると回答した企業が30%を超えていたことからも、多くの企業がネットワーク運用や管理、またそれらにかかるコストの削減についてお悩みであることがわかります。


    ネットワークの管理や運用にかかるコスト内訳

    ネットワーク管理や運用のコストは、大きく「ネットワーク機器・回線費」、「人件費」、「管理費」の3つに分けられます。


    1. ネットワーク機器・回線費


      ・ LANなどネットワークを構成する通信機器費や構築費
      ・インターネット回線利用料
      ・WAN利用料

    2. 人件費


      ・情報システム部門従業員の給料
      ・外部委託時の外注費

    3. 管理費


      ・ネットワーク監視ツールや業務システム利用料

    • 特に高くなりやすいのは、社内でのネットワーク再構築費用や維持のための人件費です。

    ネットワークの管理や運用のコスト削減

    ネットワーク管理や運用のコストを削減するには、どのような方法が考えられるでしょうか。以下に3つの方法を紹介します。


    1. 外部の運用管理サービスやツールを導入すること


      例えば以下のようなネットワーク管理・運用業務を外部に委託(アウトソーシング)することにより、業務の品質向上およびコスト削減が実現可能となります。

      ・IT資産の可視化
      ・ネットワークの監視および診断
      ・ヘルプデスク業務の担当
      ・障害復旧対応

      特定領域の人材が不足している場合や、慢性的な人員不足に直面している場合には、特に外部委託が有効です。また、ネットワーク監視ツールや構成管理ツールなどの導入は業務効率化や生産性向上およびコスト削減につながります。

    2. SDNの導入


      SDN(Software Defined Networking)は、ネットワーク管理のための技術です。具体的には、SDNコントローラを活用して、社内LANやデータセンター内のネットワーク機器の設定を一括制御します。従来、ネットワーク構成の変更に際しては、社内のルーター、スイッチングハブ、ファイアウォールなどの個々の機器およびソフトウェアの操作や設定を個別に行う必要がありました。これに対し、SDNの導入により、これらの設定を統合的かつ効率的に実施することが可能となります。

    3. SD-WANの導入


      SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)は、WANを一つのソフトウェアで管理する技術です。SDNがLANやデータセンター内に限定されるのに対し、SD-WANはWANに仮想化を拡張できます。これにより、複数拠点間のネットワーク機器を一括で設定・変更でき、技術者を派遣が不要になるため人件費が削減されます。

      また、SD-WANは通信負荷を論理ネットワークで分散させる仕組みを採用しており、高価な専用線から安価なインターネット回線への切り替えも可能で、回線コストの削減が期待できます。

    SD-WANによるコスト削減

    SD-WANの導入によってコスト削減がどのように実現できるか、具体例をいくつか挙げて解説します。


    1. 回線運用コスト


      SD-WANを導入し、専用線や閉域網からインターネット回線に切り替えることで、運用コストを大幅に削減できます。これは「インターネットブレイクアウト」という特定の通信のみを別回線で行う仕組みを利用しています。従来バックアップ回線はメイン回線の障害時にしか使われませんが、SD-WANでは物理ネットワークと論理ネットワークの2種類を使用します。

      例えば、機密通信はメインの物理ネットワークで行い、負荷がかかるWeb会議などはインターネット回線に流します。こうした負荷分散の手段により、高価な専用線や閉域網を安価なインターネット回線に切り替えることができるため大幅なコスト削減が可能になります。

    2. 人件費


      通常、自社のネットワーク構成を一括変更するには多大な工数がかかります。管理ツールがない場合、機器と拠点の数だけ人員と時間が必要です。一方、SD-WANなら全拠点・機器を1つのソフトウェアから一括設定でき、短時間で完了します。

      《ネットワーク構成の変更にかかる時間》
       ・管理ツールがない場合:機器数×設定時間×拠点数
       ・SD-WANの場合:設定時間のみ

      機器数や拠点数が多いほど、時間の削減効果が大きくなり、人件費も削減できます。また、各拠点に情報システム担当者を配置する必要がなく、トラブル時にも現地対応が不要になります。

    まとめ

    今回はネットワーク管理コストの削減方法について解説しました。ITの進歩に伴い、新しいネットワーク管理・運用ソリューションが登場しています。特に「SD-WAN」の活用は、ネットワークコスト削減に役立ちます。ぜひこの記事を参考にして、自社のネットワーク管理を見直すきっかけにしてください。

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    2025/02/19 | カテゴリ:IT基盤構築

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