SD-WANのメリット・VPNとの違い・導入ポイントをわかりやすく解説

クラウドサービスやリモートワークの普及により、企業ネットワークには従来以上の柔軟性や安定性が求められています。一方で、「通信品質が安定しない」「拠点ごとのネットワーク管理が煩雑」「運用コストを見直したい」といった課題を抱える企業も少なくありません。こうした背景から、効率的なネットワーク運用を実現する手段としてSD-WANへの注目が高まっています。
本記事では、SD-WANのメリットやVPNとの違い、導入時に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。


SD-WANとは何か?

まずは、SD-WANの定義や仕組みを簡単に説明します。そもそもSD-WANとは何かを理解していない方は、ここから基礎知識を学んでいきましょう。

  1. SD-WANの定義


    SD-WANとは、「Software-defined Wide Area Network」の略称で、ネットワーク上で仮想のWANを構築して管理する技術です。通常、企業の各拠点からVPN接続をする際には、拠点ごとのVPNルータを設定する必要がありますが、SD-WANを導入することで、ソフトウェアを用いた仮想ネットワークで一元管理できます。

  2. SD-WANの仕組み


    SD-WANは、サーバーの仮想化と似た仕組みを持ちます。ネットワーク機器の上にソフトウェアを用いて仮想化を行い、ポリシーの設定も柔軟に適用可能です。さらに、WANの使用方法からトラフィックの流れをカスタマイズし、インターネット接続の経路を自社のニーズに合わせて設定できます。

  3. VPNとSD-WANの違い


    VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想の専用線を構築し、利用者を限定できる専用ネットワークです。SD-WANは、仮想化技術を活用してソフトウェアを制御できるため、複数回線の組み合わせによって費用を抑えることが可能です。

  4. SDNとSD-WANの違い


    SDN(Software-defined Networking)は、仮想的なネットワークを表す言葉で、VPNもその一部に分類されますが、SD-WANはSDNの課題を解消するために発展した技術です。SDNは主に社内LANで使用されるため、拠点間のネットワークにはVPNが必要ですが、SD-WANはその点を改善しています。

SD-WANで実現できる機能

SD-WANの導入で使用できる機能と実現できることを以下の5種類に分けて解説します。

  1. インターネットブレイクアウト


    SD-WANを利用すると、インターネットブレイクアウトが可能です。これは、インターネット接続の通信を他の通信とは異なる経路に振り分ける機能で、基幹システムへの負荷を軽減し、トラフィックの効率的な管理を実現します。

  2. ゼロタッチプロビジョニング


    ゼロタッチプロビジョニングは、機器に触れずに各拠点にシステムを導入できる仕組みです。ネットワーク機器がWANに接続されていれば、リモートでの設定変更も可能です。

  3. アプリケーション識別


    SD-WANでは、アプリケーション識別エンジンが搭載されており、通信しているアプリケーションごとの通信量を詳細に把握できます。また、不審な通信がある場合には素早く対応が可能です。

  4. マルチテナント


    マルチテナントは、1つのSD-WANインフラを複数のユーザーや組織が共有して利用できる機能です。1つのSD-WANを複数の論理的なWANに分割できるため、効率的なリソース利用、コスト削減が実現できます。

  5. リンクステアリング


    リンクステアリング機能は、SD-WANの重要な機能の一つであり、ネットワークトラフィックを最適なパスに動的に振り分けることを指します。これにより、ネットワークのパフォーマンスや可用性を向上させることができます。

SD-WANのメリット

SD-WAN導入の主な5つのメリットについて解説していきます。

  1. ネットワーク構築・設定の簡素化


    SD-WANを導入すれば、ネットワーク設定や管理が簡素化されます。いままで現地で各拠点のネットワーク機器に設定を行う必要がありましたが、ゼロタッチプロビジョニング機能により、現地作業が不要になります。

  2. 運用・管理コストの削減


    SD-WANによって、一元管理が可能となり、運用・管理の負担とコストが削減されます。
    また、ネットワークのトラブルや不具合を1箇所で管理できるため、インシデントへも迅速に対応できるメリットがあります。

  3. ビジネスの変化にも柔軟に対応可能


    SD-WANを導入すれば、ネットワーク回線の可視化と設定が可能となり、ビジネスの変化にあわせて柔軟に対応できます。

  4. インターネット接続拠点の増加


    インターネットブレイクアウト機能を活用することで、例えばリモートワークなど、インターネットへのアクセスする拠点が増加した場合に、ネットワークの負荷を軽減し、拠点間のネットワークトラフィックの課題を解消します。

  5. オープンとクローズのネットワークを併用可能


    SD-WANでは、オープンとクローズのネットワークを自動で制御しながら併用し、トラフィックを抑え、安定した通信環境を提供できます。

SD-WAN導入や運用する際の注意点

SD-WANの導入や運用には注意も必要です。ここでは、その注意点を解説していきます。

  1. 運用管理できる社員がいない


    SD-WANを導入する際、運用管理できる社員がいない場合は注意が必要です。基本設定や構築は比較的簡単ですが、運用には幅広い知識も必要です。
    運用管理のできるネットワークエンジニアの確保についての検討もしておきましょう。

  2. アップデートに対応する手間が発生


    クラウドサービスとして提供されているコンポーネントを利用することが多いSD-WANでは、クラウドサービスのアップデートに対応する手間やアップデート後の自社ネットワーク環境への影響についても注意が必要です。

SD-WAN導入をおすすめする企業

ここではSD-WANの活用で効果が期待できる、おすすめの企業について紹介していきます。

  1. テレワークを推進したい企業


    テレワークを推進している企業にとって、SD-WANの導入はおすすめです。 通常のWANでは、テレワークによる様々な場所からのインターネット接続を想定しておらず、通信量増加からネットワークが不安定になる可能性が高まります。

    SD-WANを導入すればSaaSの利用など、アプリケーションに応じた接続先の変更を自動で行うインターネットブレイクアウトを実現できるため、安定したネットワーク利用が可能になります。

  2. 各拠点のネットワーク設定を遠隔で一元管理したい企業


    拠点が多く遠隔でネットワーク設定を一元管理したい企業にもSD-WANは適しています。
    通常、ネットワークの構築は、現地で機器設定作業をする必要があるなど移動の手間やコストがかかります。
    SD-WANであればゼロタッチプロビジョニング機能でこうした手間やコストを削減できます。

まとめ

SD-WANは、通信品質の向上や運用負荷の軽減、コスト最適化など、多くのメリットを備えたネットワークソリューションです。一方で、導入効果を最大化するためには、自社のネットワーク課題や運用体制を整理し、運用性・拡張性・セキュリティ・コストなどを総合的に比較し、自社に適したサービスを選ぶことが重要です。

また、SD-WANの導入とあわせて、クラウド環境全体の運用管理を見直すことで、より効率的で安定したネットワーク運用を実現できます。

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2026/06/30 | カテゴリ:IT基盤構築

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