モノ管理から脱却する「サービス起点」のIT資産管理術

「セキュリティアラートが鳴ったが、この端末を誰が使っているかすぐに特定できない」「Excel台帳とMDMとActive Directoryを突き合わせるのに半日かかる」
IT部門やバックオフィスの現場では、このように台帳情報の形骸化に頭を悩ませるケースが後を絶ちません。
働き方の変化によりデバイスは社外へと分散し、SaaSの利用も急増しました。管理対象が複雑化する一方で、管理手法が旧来のExcel台帳や個別ツールのつぎはぎ状態のままでは、実態との乖離は広がるばかりです。
本記事では、分散した情報を繋ぎ合わせ、資産管理を単なる記録から、サービス品質を守るための基盤へと進化させる考え方とステップを解説します。


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管理情報が分散することで発生する課題

多くの企業で、PC管理はExcel、モバイル端末はMDM(Mobile Device Management)、セキュリティ対策はEDR(Endpoint Detection and Response)という具合に、ツールが乱立している状況は珍しくありません。

それぞれのツールは優秀でも、データが連携せず情報のサイロ化が起こっていると、情シスの現場に深刻な3つの課題を引き起こします。


  1. 情報確認や調整が人に依存し、運用負荷が増大する


    情報が分散していると、最新のステータスを把握するために詳しい人に聞く、あるいは各ツールを目視で確認するという属人的な調整が発生します。

    結果として、担当者は入退社のたびにキッティングや権限付与、回収の手配に追われ、サービス品質の改善や運用高度化といった、付加価値の高い業務に時間を割くことができません。

  2. 資産の所在・利用状況を把握しきれず、紛失やセキュリティリスクが高まる


    台帳上は在庫となっているPCが実際には行方不明だったり、退職者がIDを持ったままクラウドサービスにアクセスできる状態が放置されていたりするケースも少なくありません。

    モノと利用者、そして利用権限であるIDが紐づいていないと、デバイスの紛失や不正利用のリスクが高まります。

    監査のタイミングで慌てて棚卸しをしても、一時的な整合性を合わせるだけの対応に終始してしまい、根本的なセキュリティリスクは解消されないまま残ってしまいます。

  3. 資産やサービスへの影響範囲が見えず、意思決定が遅れる


    ハードウェアやソフトウェアの資産情報と、経費精算やメールといった業務サービスとの関連性が見えていないと、障害発生時の影響範囲を特定できません。結果として、復旧優先度の判断や現場への周知が遅れてしまいます

    資産とサービスの関係が明確な状態に整えることは、サービス品質を維持・向上させるための必須条件です。

サービス起点で考えるIT資産管理―進化する「3つの段階」

散在する情報を結びつけ、正確に管理するためには、一足飛びに理想を追求するのではなく、以下の3段階を経て管理レベルを進化させることが現実的な解決策です。


  1. 資産情報を正しい一覧として把握する


    まずは、情報の置き場所を1つに定めることが重要です。

    Excel、MDM、Active Directoryなどに散在するデータを、1つの構成管理データベース、すなわちCMDB(Configuration Management Database)へと統合します。

    各ツールからデータを自動収集し、情報の更新ルールを設けることで、最新のハードウェアやソフトウェア情報を一元的に把握できるマスターデータを整えます。

    手入力による統合では、情報の更新漏れやデータの不整合が避けられず、かえって運用負荷を高めてしまいかねません。資産情報を集約することで、必要な情報を探し回る確認コストを削減し、棚卸しの精度を底上げできます。

  2. 各資産がどのサービスを支えているかまで見える


    統合されたリストを整備しただけでは、まだモノの管理の域を出ません。次は、個別の資産がビジネスにおいて何の役に立っているかという文脈を紐づけます

    「PC-001は営業部の佐藤さんが利用している」「Server-Aは会計システムを稼働させている」「Switch-Bがダウンすると東京支社のWi-Fiが全停止する」のように、実業務とのつながりを整理する作業です。

    このように、資産と人、資産とサービスの依存関係を可視化することをサービス構成管理と呼びます。この関係性が見えて初めて、障害発生時の業務影響を即座に特定したり、サービスの重要度に応じた対応の優先順位付けを行ったりすることが可能となります。

  3. サービス影響を前提に運用・判断まで回せる


    最後は、整備した資産情報やサービス構成情報を、日々の運用プロセスへと統合する段階です。

    CMDBやサービス構成管理で整理した情報を、ITサービスマネジメントツール(ITSM)と連携させることで、インシデント管理や障害管理といった運用プロセスを、資産とサービスの相関関係に基づき回せるようになります

    例えば、社員からPCが遅いと問い合わせがあった際、チケット画面にその社員が使用しているPCのスペック、過去のトラブル履歴が自動表示される仕組みを実現可能です。ヒアリングの手間が省け、問題解決までのスピードは劇的に上がります。

    さらに、サーバー障害のアラート検知と同時に、影響を受けるサービス利用者へ自動でメンテナンス通知を配信することも可能になります。

サービス起点の資産管理を支える共通基盤とは

資産管理をサービス起点の実運用として定着させるためには、資産情報と日々の業務プロセスが同じプラットフォーム上でシームレスに連携している必要があります。情報の分断を防ぎ、運用を最適化する有力な選択肢となるのが、ITサービスマネジメントツール「Jira Service Management(JSM)」です。

  • Jira Service Management(JSM)とは


    JSMは、開発と運用のシームレスな連携を強みとするツールであり、Assetsという柔軟な資産管理機能を搭載しています

    Assetsは、IT資産や関連情報を一元管理するためのCMDBとして機能します。管理項目が固定された従来の台帳とは異なり、資産、人、契約、場所、サービスといったあらゆる要素をオブジェクトとして柔軟に定義し、相互にリンクさせることが可能です。

    これにより、インシデント管理や変更管理のワークフローのなかで、常に最新の資産情報や依存関係を参照できるようになります。「誰が、何を、どのように使っているか」が常に可視化された環境を構築できれば、情シスは煩雑な管理業務から解放され、より戦略的なITサービスの提供に注力できるでしょう。


まとめ

資産管理の目的は、棚卸しのためにリストを作ることではなく、ITサービスを安定稼働させ、ビジネスを停滞させないことです。
モノの管理から、業務サービスとの関係性を含めた管理へ視点を切り替えることで、運用負荷の軽減と対応品質の向上を同時に実現できます。

まずは自社にとって最も重要なサービスが、どのような資産に支えられているかを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。


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2026/03/03 | カテゴリ:Jira Service Management

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