選択肢はVPNだけじゃない─2拠点間のネットワーク接続の最適解「ダークファイバ」


DXの波が加速する現代において、企業ネットワークはビジネスの生命線です。特に、本社と支社、データセンタといった2拠点間のネットワークにおける通信品質は、業務の即時性、効率性、そしてセキュリティに直結します。
拠点間のネットワーク接続の手段としては、多くの企業が「VPN(Virtual Private Network)」を選択しています。

しかし、企業の成長と共に、より高いパフォーマンスやセキュリティが必要になるケースもあるでしょう。
こうしたケースにおいて、他にも有力な選択肢があります。
その一つが「ダークファイバ」の利用です。

本記事では、拠点間を接続する通信手段として最も身近な選択肢である「VPN」と、さらに加えたい選択肢である「ダークファイバ」を比較し、企業のネットワーク戦略の最適解を探ります。

VPN:多くの企業が選ぶ、手軽で柔軟な接続手段

VPNは、既存のインターネット回線などを利用し、暗号化された仮想的な専用通信路を構築する技術です。公衆網を利用するものなどもあり、多くの企業にとって最も導入しやすいソリューションと言えるでしょう。

  1. VPNの主なメリット


    なぜ、拠点間の接続にVPNが選ばれるのか?その理由は以下のような、VPNの特長にあります。

    ・低コストで短期間導入が可能
    VPNの種類にもよりますが、既存のインターネット接続環境があれば新たな回線を必要としない場合や、ソフトウェアやルータの設定だけで接続が済むなど、初期投資を抑えられ、短期間で利用を開始できる場合もあります。

    ・拠点数増にも柔軟に対応
    インターネットに接続できる場所であれば、拠点数に関わらず容易にネットワークへ組み込めます。急な支社や営業所などの開設や、リモートワーカーとの接続にも柔軟に対応します。

    つまり、VPN は「柔軟に拠点をつなぐ手段」として優れており、特にコスト重視・多数拠点接続・モバイル/リモートワーク併用の場面でメリットがあります。

  2. VPNの種類


    ひとくちにVPNといっても、利用する回線や技術によって通信品質や特徴が大きく異なります。一般的には以下のような種類に分類されるため、利用する用途や導入・運用にかかるコストに合ったものを選ぶ必要があります。

    VPNの種類 利用回線 通信品質 主な特徴
    インターネットVPN

    インターネット回線

    △:不安定

    最も安価で手軽。リモートアクセスや小規模拠点向け。セキュリティは暗号化技術に依存

    IP-VPN

    通信事業者所有の閉域網

    ○:安定

    通信事業者の閉じたネットワーク(閉域網)を利用。インターネットを経由しないため、セキュリティと品質が高い

    エントリーVPN

    インターネット回線+閉域網

    △:やや不安定

    IP-VPNとインターネットVPNの中間。IP-VPNより低コストだが、品質はベストエフォート型(保証なし)が多い

    広域イーサネット

    通信事業者所有の閉域網

    ○:安定

    IP-VPNと同様に閉域網を利用し、さらにプロトコルの自由度が高いく、高セキュリティだが、コストが高くなりがち。

    この中で、IP-VPNや広域イーサネットは、インターネットから隔離された「閉域網」を利用します。公衆網であるインターネットではない通信経路を通るため、インターネットVPNなどと比較した場合にセキュリティと通信品質に優れています。特に企業における拠点間の接続には、これらの「閉域網VPN」が有力な選択肢となるでしょう。

  3. 閉域網VPNの課題や限界


    では、閉域網VPNこそ拠点間を接続するネットワーク構築手段としては最適解となるのか? 閉域網VPNの通信品質やセキュリティについて確認してみましょう。

    ・完全な帯域保証ではない
    閉域VPN(特にIP-VPN)は、通信事業者の閉域網という「共用のインフラ」を利用します。多くの場合は十分な帯域が確保されますが、他の利用者の通信状況の影響を受ける可能性があり、理論上は絶対的な安定性はありません。

    遅延の発生可能性
    閉域VPNは、通信事業者のネットワーク内で複数の経路制御装置(ルーターなど)を経由するため、遅延が発生する可能性があります。

    ・セキュリティ面でのリスク
    通信事業者の閉域網内で「物理的に」ではなく「論理的に」他社とネットワークを分離しています。技術的には高度な分離がされていますが、リスクはゼロではありません。
    また、閉域VPNを構成するネットワーク機器に設定ミスや機器自体の脆弱性が存在する可能性があり、これらの機器が攻撃を受けると、セキュリティ侵害につながるリスクがあります。

    このように、閉域網VPNは通信品質やセキュリティレベルは高いレベルにはありますが、やはり「共有回線である」ことや、「ベンダーやサービスに依存」していることによる限界はあります。

    もちろん、利用者のすべてがこうしたことを課題として感じているわけではありません、実際に利用者が多いことがそれを表しています。しかし、極めて高いセキュリティと安定した通信が求められる、例えば金融機関の基幹システムや大容量データの確実な転送が必要なデータセンタなどの重要拠点間との通信において、より高いパフォーマンスとセキュリティを求める場合には、他の選択肢が必要なケースも出てくるでしょう。

        ダークファイバという選択肢:高いパフォーマンスとセキュリティ

        VPN以外での拠点間の通信手段として、特に2拠点間における通信で「大容量データ転送」「低遅延」「高セキュリティ」が必須である場合に、お勧めしたいのが「ダークファイバ」の利用です。

        ダークファイバは、通信事業者が敷設した光ファイバケーブル内に収容されている光ファイバ心線(以下、光心線)のうち、通信サービスとして使われていない余剰となった光心線のことです。
        ダークファイバは通信事業者から借りることができるので、この光心線を伝送装置と組み合わせ、独自の専用回線(専用線)として、利用することが可能になります。

        ご参考記事:ダークファイバとは?企業ネットワークを支える“光ファイバの未利用区間”の正体


        ■光ファイバケーブルのイメージ

        ■ダークファイバのイメージ

        1. ダークファイバによる専用線


          では、ダークファイバによる専用線にはどのような特長があるのでしょうか。

          ・圧倒的な広帯域・低遅延
          他の通信トラフィックの影響を一切受けない完全占有環境による広帯域と、ほとんど遅延のないリアルタイム性を保証し、大容量データに耐えうる通信回線です。

          ・高セキュリティ
          光心線単位で物理的にネットワークが他の通信とは完全に隔離されており、高いレベルのセキュリティを担保できます。

          ・将来の帯域保証(スケーラビリティ)
          他の通信サービスが通信事業者の設備容量に縛られるのに対し、ダークファイバは自社の機器性能を向上させるだけで、通信容量を飛躍的に拡張できます。増え続ける映像、AIなどのデータ転送といった新たな大容量ニーズに、柔軟かつ迅速に対応できる未来志向のインフラです。

          ・自由なプロトコル・技術の採用
          通信事業者の提供するプロトコルに縛られることなく、自社の特殊な要件や光通信技術(WDMなどの複数の異なる波長の光信号を同時に乗せる等)も導入できます。これにより、競合他社に先駆けた独自のネットワーク戦略が可能です。

          このように、ダークファイバによる専用線は、光心線という通信路を自由に使えるという点が最大の特徴であるため、「速度・容量」「遅延」「セキュリティ」「拡張性」において、優れた回線として使うことができるのです。

        2. ダークファイバと閉域網VPNの違い


          閉域網VPNとダークファイバによる専用線を比較してみましょう。

          項目 閉域網VPN ダークファイバによる専用線
          通信回線

          事業者閉域網上の論理接続

          光心線を占有

          物理的な占有性

          設備は他ユーザーと共有

          物理レイヤーから占有
          帯域の自由度

          サービスメニュー内で選択

          機器次第で柔軟に拡張可能

          遅延・安定性

          高品質だが、網全体の影響を受ける

          非常に安定、低遅延を実現しやすい


          セキュリティ

          高度な暗号化が必要。
          閉域網でのセキュリティは高いが、物理的な分離ではない

          物理的な分離による隔離

          拡張性

          増速時は契約変更

          光伝送装置の更改で対応可能

          両者の本質的な違いは、「論理的に閉じているか」 と 「物理的に占有しているか」 にあります。

          閉域網VPNは、あくまで通信事業者のネットワーク上で「他から見えないように区切られている」サービスです。
          そのため、帯域や遅延、トラフィック制御は、事業者のネットワーク設計や混雑状況の影響を完全には避けられません。

          一方、ダークファイバによる専用線は、回線そのものを自社で所有・管理しているのと同等の状態を実現できます。
          通信の中身だけでなく、通信路自体をコントロールできる点が、閉域網VPNとの大きな違いです。

          ■専用線とVPNによる接続イメージ

        3. ダークファイバの導入ハードル


          しかし、高性能な専用線となるダークファイバですが、一般的な企業が導入するには、いくつかの越えなければならないハードルが存在します。

          ・光心線を借りる条件
          ダークファイバを光心線のみで借りる場合、その条件として、通信事業者や自治体などに限定される場合があり、一般企業では借りられないことがあります。

          ・専門的な知識と運用
          ネットワークの設計から運用まで、自社の要件に合わせた高度な知識とスキルを持った技術者が不可欠であり、人材確保や育成の面で負担がかかります。

          ・導入期間の長さ
          ダークファイバの調達や物理的な回線工事、機器の導入・設定が必要なため、利用開始までの期間が長くかかることになります。

          こうした導入ハードルがあることから、ダークファイバは一般的な企業で導入を検討するようなものではないのでは?と思われやすい側面があります。

        4. ダークファイバによる専用線サービスの活用


          一般的な企業がダークファイバを利用する場合、前述したように光心線単体で借り入れるところから始めるには、導入までに越えなければならないハードルが確かにあります。

          しかし、こうした面倒ごとをすべてお任せできるサービスを提供している事業者があるのです。こうした事業者は光ケーブル設備を持つ通信事業者からダークファイバを調達し、光伝送装置とセットにした、回線サービスとして提供しています。

          こうしたサービスを利用することで、企業が一から自前で準備することなく、専用線サービスとしてダークファイバの占有環境を利用することが可能になります。

          ダークファイバの最大のメリットはそのままに、ダークファイバの調達やネットワーク構築・運用・保守の煩雑さを大幅に軽減できるようになり、一般企業でも導入がしやすくなるのです。

              まとめ

              本記事では、企業における拠点間ネットワークの接続手段として一般的なVPNと、より高い通信品質とセキュリティが必要なケースへの選択肢として、ダークファイバを紹介しました。

              拠点間のネットワーク接続にVPNは多くの企業において合理的な選択肢です。しかし、次世代向けたDXを推進するうえで、大容量で機密性の高いデータを安全に扱うことが、今後ますます必要となるでしょう。

              拠点間のネットワークに求められる要件は「導入の手軽さ」から「高い通信品質とセキュリティ」へとシフトしています。自社の成長に合わせて帯域を拡張しやすいダークファイバの利用は、企業の成長と未来を確実に支えるネットワーク構築手段として、最適解とも言えるのではないでしょうか。

               エクシオグループではダークファイバによる光専用線のサービスを提供しております、キャリア工事のプロが提供する確かな品質で、導入から保守までを一貫してサポートします。ネットワーク回線の選択肢の一つとして、ぜひご検討ください。

              関連するページ:ダークファイバ光専用サービス

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              2025/12/26 | カテゴリ:ネットワーク/サーバ

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