近年、システム開発の現場では「OutSystems(アウトシステムズ)」という言葉を耳にする機会が増えています。
OutSystemsはローコード開発プラットフォームの一つで、従来のようにコードを書かずとも、ドラッグ&ドロップなど視覚的な操作で迅速にシステム開発できる点が特徴です。
ご参考記事:「OutSystemsとは何か?6つの特徴と導入事例を紹介」
なぜ今OutSystemsに注目が集まっているのでしょうか。その背景には「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の加速」という要因があります。
企業は新しいサービスを迅速に市場へ投入するため、スピーディなシステム開発を求めています。その解決手段のひとつがローコードの代表格であるOutSystemsであり、求人市場での需要が高まっているのです。
ローコード/ノーコード市場は急成長しています。 ITR社の調査によれば、2025年度の国内市場規模が1,000億円を超えると予測しています。また、ある別の企業調査によれば、2025年までに新規アプリ開発の約70%がローコードで行われるとの予測を発表しています。
日本における「2025年の崖」や「2027年問題」といった老朽化システムの刷新が課題である中、数あるローコード製品の中でOutSystemsが注目される理由は、大規模開発に耐えられる点です。
たとえばMicrosoft Power Appsやkintoneなどは小規模な社内ツール開発には便利ですが、大量データや複雑な業務フローを扱うには限界があります。一方OutSystemsは、複雑なデータモデリングや外部システムとのAPI連携、大規模ユーザを前提としたアーキテクチャ設計が可能で、基幹システムを中心としたミッションクリティカルなシステムのモダナイズにも向いているのです。
求人票を分析すると、OutSystems人材の需要は単なる「開発要員」だけではありません。主に以下の3つの職種に分かれます。
・開発者
画面設計やワークフロー構築、基本的なデータモデリングを担当。求人票には「OutSystems Associate資格保有者歓迎」や「SQLやJavaScriptの基礎知識」といった条件がよく見られます。
・アーキテクト/テクニカルリード
システム全体の設計やパフォーマンス最適化、外部システム連携の方式設計を担います。例えば「既存ERPと数百万件のデータをやり取りするAPI設計」など、単純な操作を超えた高度なスキルが必要です。求人市場でも高待遇なものが見受けられます。
・プロジェクトマネージャー
クライアントと要件を整理し、開発をリードする役割です。「ビジネスと技術をつなぐ翻訳者」とも言え、単なるマネジメント能力だけでなく、OutSystemsの仕組みに対する理解も求められます。
地域的には首都圏が中心ですが、コロナ以降はフルリモート可の求人も増加しており、地方在住のエンジニアにもチャンスが広がっています。また給与水準は一般的なローコード人材に比べ、OutSystems人材は高めに設定される傾向があります。
以下はOutSystems技術者に求められる主なスキルセットです。モノを作るスキルだけでなく、お客様の要件を引き出して提案するビジネススキルも求められます。故にOutSystems技術者としてキャリアを積むことは、「事業や業務の視点から課題解決をリードできるエンジニア」への成長と繋がるのです。
・基礎スキル
UI/UX、データモデル、ビジネスロジックの設計および構築
Service Studio(ODC Studio)などのOutSystems主要ツールの操作
・専門的スキル
REST/SOAP APIの利用・公開、外部データベースとの接続
JavaScriptやC#による拡張
デリバリー手法、セキュリティ、アーキテクチャ設計など
・ビジネススキル
利用部門との要件定義能力(「何を実現したいか」を引き出す力)
アジャイル開発の経験
DX推進における提案力(システム導入=ゴールではなく、業務変革を提案できること)
古いシステムは最新のサイバー攻撃への対策が不十分なため、情報漏洩のリスクが高まります。ハッカーはランサムウェアや脆弱性攻撃などさまざまな手段で企業の情報を狙っています。特にセキュリティ対策が不十分な中小企業は、標的になりやすいです。
OutSystemsには公式資格制度が整っており、学習ロードマップも明確です。学習リソースとしてはトレーニングポータル(公式のオンライン教材)やOutSystems Communityなどが利用できます。
各資格の詳細情報については、OutSystems Community内の認定資格ページである下記URLに掲載されています。
OutSystems認定資格ページ:https://www.outsystems.com/certifications/academy-certifications/
・主な資格(一部を紹介)
Associate Developer(初級開発者)
Architecture Specialist / Security Specialist(スペシャリスト)
Expert Developer(エキスパート)
Tech Lead / Delivery Manager(マネジメント)
今後注目すべきは「AI×ローコード」の融合です。OutSystemsにはAI Mentorという機能があり、設計のベストプラクティスを提案したり、バグの可能性を自動検出したりできます。
これは「エンジニアの仕事がなくなる」のではなく、「より高度な設計やビジネスへの提案に集中できる」方向に進むことを意味します。
ステークホルダとの調整や合意形成といった提案・コミュニケーションスキルはAIではまだ難しく、これまで以上にエンジニアに求められるでしょう。
ミッションクリティカルなシステム開発にも対応できるOutSystems、それを扱える人材への需要は拡大していくでしょう。また、これからのキャリア形成においては「ツールを使える人」ではなく、「ビジネス課題を技術で解決できる人」こそが市場で評価される存在です。今後数年でこの傾向はさらに強まるでしょう。
OutSystemsを学ぶことは、単に一つのツールを習得するだけでなく、DX時代における「市場価値の高い人材」への第一歩となります。
2025/10/01 | カテゴリ:アプリケーション・実⾏基盤
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