近年、さまざまな産業でDXの実現が急務となっているものの、IT人材の不足に悩まされている企業が少なくありません。限られたエンジニアリソースに依存することのないノーコード開発は、開発効率の改善に有効です。
本記事ではノーコードの概要や需要が高まっている理由について解説するとともに、ノーコード開発のメリットとデメリットを紹介します。
ノーコードとは、マークアップ言語やプログラミング言語等による記述を必要とせず、GUI(Graphical User Interface)を用いた直感的な操作でシステムやアプリケーションを開発する技術です。このように、ソースコードを記述することなく、システムやアプリケーションを開発できるサービスをノーコードツールと呼びます。
たとえば、一般的なWebサイトは、マークアップ言語のHTMLとスタイルシート言語のCSSで構築されており、それらのソースコードを記述したHTMLファイルを作成する必要があります。この工程を内製化する場合、Web制作に関する一定以上のスキルを有した人材が必要です。
一方、ノーコード開発では、ドラッグ&ドロップやウィジェット等を用いた直感的な操作で簡単にWebサイトを構築できます。そのため、HTMLやCSSの直接的な記述は必要ありません。Web制作のスキルを有する人材がいない場合でも、短期間で社内ポータルサイトやオウンドメディア等の構築が可能です。
ローコードとは、ソースコードの記述を最小限に抑える開発手法です。ノーコードの場合、基本的にGUIによる操作のみで開発を完結できます。
一方、ローコードでは、GUIによる視覚的な操作を主体としつつ、必要に応じてソースコードを追加しながら機能の拡張やカスタマイズを実行します。ローコード開発は、ノーコード開発よりも専門的な知識を要するものの、細やかな要件に合わせた設計や実装後の拡張に対応しやすいのがメリットです。
ノーコード開発の需要が高まっている理由のひとつに、IT人材の不足が挙げられます。国内では少子高齢化の進展に伴って生産年齢人口が減少し続けており、経済産業省の調査(※1)によれば、2030年におけるIT人材の不足数は約45万人に達することが予測されています。このような状況で、IT人材を確保するのは容易なことではありません。
ノーコード開発はプログラミングに関する専門知識を必要としないため、非エンジニアでも一定レベルのWebサイトやアプリケーションを開発できるため、IT人材の不足という経営課題の緩和が期待できます。このような社会的背景により、ノーコード市場の規模は年々増大していく傾向にあります。
(※1)参照元:|経済産業省、みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査(p.20)」
ノーコードツールを活用すれば、非IT人材でもアプリケーション開発に携わることが可能です。プログラミング言語を習得するまでの時間や学習コストの削減も実現します。
ノーコードツールの多くはボタンやアイコン、ウィンドウといったGUIでの操作を基本としており、原則としてソースコードの直接的な記述を必要としません。WordやExcelで資料を作成するような感覚でシステムやアプリケーションを構築できるため、IT分野の知見やコーディングのスキルが乏しい人材でも、一定レベルの開発業務を推進できます。
ノーコードツールを活用すれば、ドラッグ&ドロップやテンプレート等を使用してコーディングの工程を短縮できます。そのため、開発時間を大幅に削減できる点がメリットです。たとえばWebサイトの文字色を変更するためには、CSSのcolorプロパティを記述し、そのclassを任意のテキストに適用する必要があります。しかし、ノーコードツールでは、これらの工程をボタンのクリックひとつで完了できます。
システム開発を行う際、制作会社やフリーランスエンジニアへ業務委託するケースも少なくありません。その場合、開発規模に応じて相応の外注コストが発生します。ノーコードツールの導入で一定レベルのシステム開発を内製化できるようになれば、業務委託が不要となり、外注コストの大幅な削減が可能です。これにより、削減されたコストを設備投資や広告宣伝費等に再投資できるというメリットもあります。
ノーコードには、その特性ならではのデメリットが存在します。デメリットついてよく理解し、緩和するために必要な対策をあらかじめ考慮するようにしましょう。
ノーコードツールはコーディング不要で一定レベルのシステムを構築できる反面、カスタマイズはプラットフォームが提供する機能の範囲内に限られます。このような性質により、複雑な独自システムの開発や強固なセキュリティ要件に対応できないケースが少なくありません。また、ソースコードのエクスポートに対応していないノーコードツールが多く、サービス終了時に開発したシステムが使用できなくなるリスクもあります。
ノーコードツールの多くでは、テンプレートが定義されているため、その仕様に基づくデザインや機能しか使用できません。基本的に、ソースコードの複雑さと自由度の高さはトレードオフの関係にあるため、ノーコード開発では機能面やセキュリティ面の限界があります。
導入するツールによって機能性や拡張性は異なるため、必要とする機能を実装できない可能性があることも忘れないようにしましょう。導入前にツールの特性を調査するプロセスが非常に重要です。
ノーコードツールはシステム開発の内製化やコストの削減といったメリットを享受できる一方、プラットフォームへの依存度が高く、機能やカスタマイズが限定的というデメリットを抱えています。そのため、自社の要求事項を明確化した上で、ツールを慎重に比較検討するようにしましょう。
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ご参考記事:「ServiceNowとは?業務効率化を実現するプラットフォームの魅力」
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また、複数の既存システムを単一のプラットフォームで一元管理できるため、システムのサイロ化を防止し、部門横断的な情報共有と業務連携を実現できるのも大きなメリットです。
ServiceNowの特徴として、ノーコードの簡易性とローコードの拡張性を兼ね備えている点が挙げられます。コーディング不要のノーコードは、小規模なシステム開発を内製化できるものの機能は限定されます。
ServiceNowはGUIによる操作を基本としながら、必要に応じてプログラムを追加できるため、独自の機能要件と非機能要件に対して柔軟に対応できるのも魅力です。ServiceNowの柔軟性と拡張性は高い評価を博しており、DXを推進するさまざまな企業で採用されています。
ノーコードはソースコードを記述することなく、GUIによる直感的な操作でシステム開発を実行できる技術であり、企業のDX推進を加速させる有効な手段です。ただし、ノーコード開発では機能面やセキュリティ面の限界があります。信頼性と柔軟性を兼ね備えたServiceNowのようなプラットフォームを活用することで、開発のメリットを最大限に引き出せます。
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2025/02/19 | カテゴリ:アプリケーション・実⾏基盤
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