企業がAWSを活用する際、クラウド環境の管理や運用の効率化が課題となることが多くあります。これらの課題を解決するために、ServiceNowとの連携が有効な手段として注目されています。本記事では、AWSとServiceNowの具体的な連携方法やメリットについて詳しく解説し、クラウド運用の最適化をめざす企業にとってどのような効果が期待できるのかを解説します。
AWSとServiceNowの連携にはいくつかの方法があります。それぞれの方法には特徴があり、企業のニーズやシステム環境に応じて最適なものを選択することが重要です。
AWS Service Management Connectorは、ServiceNowとAWSを直接統合できる公式の連携ソリューションで、無料でServiceNowストアから入手できます。AWSのさまざまなサービスをServiceNow上で管理し、運用の効率化を図ることができます。
この連携を導入することで、AWSのリソース情報や設定をServiceNowに連携し、クラウドの利用状況を可視化できます。これにより、AWSに都度ログインすることなく、ServiceNowの管理画面からAWSのサービスを直接操作できるようになります。
ServiceNow Integration Hubを利用することで、ServiceNowとAWSをスムーズに連携させることができます。特にIT Operations Management(ITOM)の分野では、この方法を活用するのが一般的であり、AWSのさまざまなサービスと統合することで、運用管理の効率化が実現できます。
この連携を導入すると、AWSとServiceNowの間でデータやプロセスをシームレスに統合でき、システム間のやり取りを自動化できます。開発にかかる時間やコストを削減できるうえ、ノーコードやローコード環境で設定できるため、専門的なプログラミングスキルがなくても簡単に連携を構築できます。また、リアルタイムでのデータ同期が可能になり、手動での更新作業を減らせる他、複雑なワークフローも自動化できるため、運用の負担を大幅に軽減できます。
ServiceNowとAWSは、それぞれ多くのAPIを提供しており、これらを活用することで企業のニーズに応じた柔軟な連携が可能になります。APIを組み合わせることでカスタマイズ可能なシステムを構築できるため、より細かい要件に適した運用が可能になります。
例えば、AWS Security Token Service APIのAssumeRoleアクションを利用すれば、異なるAWSアカウントの権限を一時的に取得し、必要なリソースにアクセスできるようになります。これにより、複数のAWSアカウントを持つ企業でも、各アカウントの管理を統一し、アクセス制御を適切に行うことができます。
さらに、AWS SDKを使用することで、AWSのリソースをより効率的に操作できます。例えば、PythonのBoto3ライブラリを活用すると、EC2インスタンスの起動や停止、S3バケットの作成や削除等の操作をServiceNowの管理画面から直接実行できるようになります。また、ServiceNowのスクリプト機能を活用してAWS CLIコマンドを実行すれば、AWSのさまざまなサービスを詳細に制御することができ、業務プロセスの自動化をさらに推進できます。
ServiceNowについての基本的な説明は以下の記事をご覧ください。
ご参考記事:「ServiceNowとは?業務効率化を実現するプラットフォームの魅力」
ServiceNowとAWSを連携させることで、クラウド環境の管理がよりスムーズになります。以下では、どのようなことができるかを具体的に紹介します。
ServiceNowを活用すると、クラウド環境の構築やリソース増強の申請を効率化できます。事前に決められたリクエストフォームを使うことで、必要な情報を正確に収集でき、管理の一貫性が向上します。
申請プロセスは自動化されており、承認ワークフローを設定することで、申請から承認までをスムーズに進められます。また、進捗状況をリアルタイムで追跡できるため、申請者や管理者は状況をすぐに確認できます。履歴データの蓄積により、過去の申請を分析し、運用の改善やリソース最適化にも活用可能です。
さらに、事前承認されたAWSリソースのみ提供することで、不要なリソースの作成を防ぎ、セキュリティポリシーやコンプライアンス要件に準拠した環境を維持できます。シャドーITのリスクを抑えつつ、安全で効率的なクラウド運用を実現します。
また、コスト見積もりや予算承認をリクエストフローに組み込むことで、申請時点で費用を明確にし、適切な予算管理が可能になります。これにより、予算超過を防ぎ、コスト削減を促進しながら計画的なクラウド運用が行えます。
ServiceNowと連携することで、AWSのクラウド環境の稼働状況を詳細に監視でき、未使用のリソースを特定して不要なコストを抑えられます。たとえば、申請されたものの利用されていないAWSリソースを検出し、整理することでクラウド環境を最適化できます。
また、各部署のクラウド利用状況を可視化することで、コスト管理を効率化し、予算超過を防ぐことができます。一定期間ログインのないユーザーを特定し、不要なリソースを削減する仕組みも構築可能です。
さらに、AWSのCloudWatchメトリクスをServiceNowに統合することで、EC2のCPU使用率やネットワークトラフィック等のデータをリアルタイムで把握できます。異常を検出した場合は自動的にインシデントを作成し、迅速な対応を促すことで、潜在的な問題を早期に察知し未然に防ぐ運用が可能になります。
ServiceNowとAWSを統合することで、AWS上で発生する障害対応やエスカレーション、通知の管理を一元化できるようになります。これにより、インシデントの発生から解決までのプロセスが統合され、重複作業を減らし、対応時間を短縮することが可能になります。また、問題が発生した際には、適切なチームや担当者に自動的に割り当てられるため、迅速な対応が実現できます。
さらに、対応プロセスが標準化されることで、一貫性のある問題解決が行えるようになり、属人化を防ぐことができます。過去のインシデントデータを蓄積し分析することで、再発防止策の策定や、発生前の対策を講じる予防的な運用管理も可能になります。
また、AWSのコスト最適化機能とServiceNowの資産管理機能を組み合わせることで、クラウドリソースの無駄を削減し、より効果的なコスト管理を実現できます。例えば、長期間使用されていないEBSボリュームや古いスナップショット、非効率なRDSインスタンス等を特定し、不要なリソースを自動で削除したり、最適な設定に変更したりすることで、無駄なコストを抑えられます。
拡張の必要性や豊富な実績を求めている場合には、AWS運用にServiceNowを活用するのがおすすめです。
ServiceNowは多機能なプラットフォームでありながら、企業のニーズにあわせて柔軟にカスタマイズできる点が大きな特徴です。新しいシステムやツールとの連携も容易であり、企業の成長に伴ってスムーズに拡張できます。
また、ServiceNowのApp Engineを活用すれば、独自の業務プロセスやワークフローに適したカスタムアプリケーションを開発できます。これにより、AWSの運用管理だけでなく、企業全体の業務効率向上やデジタルトランスフォーメーションの推進にも貢献します。さらに、各ユースケース毎に用意されたAIを活用した機能を取り入れることで、予測分析を高度化し、AWSの管理をより効率的に行えます。
ServiceNowは、世界中の企業で広く導入されている実績のあるプラットフォームです。特に、フォーチュン500企業の約85%が採用していることからもその信頼性の高さがうかがえます。成功事例も豊富に存在するため、ベストプラクティスを活用しながら、スムーズな導入と運用が可能になります。
また、ServiceNowの認定パートナーエコシステムを活用することで、専門的な知識とスキルを持つ外部のリソースを活用しながら、最適な運用計画を立てられます。さらに、定期的なアップデートにより、セキュリティや機能面で常に最新の状態を維持できる点も大きなメリットのひとつです。
AWSとServiceNowは、AWS Service Management Connector、ServiceNow Integration Hub、API連携を活用して統合でき、AWSリソースの管理やインシデント対応を効率化できます。
この連携により、拡張性と柔軟性を確保し、企業の成長に合わせた運用が可能になります。さらに、多くの企業で採用されているため、その信頼性も確立されています。
ServiceNowとAWSの統合により、ITサービス管理とクラウドリソース管理が最適化され、運用の効率が向上します。
2025/05/13 | カテゴリ:アプリケーション・実⾏基盤
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